お墓の施工について

墓石の『耐震施工用石材ボンド(接着剤)について』【種類と効果】まとめ

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墓石 耐震施工 石材用ボンド
※画像はイメージですよ、念の為(笑)

現在【墓石の耐震材】として、各種接着剤が使用されているのはご存知ですか?

 

先日は、その墓石の耐震施工に必須な【石材用ボンド】についての勉強会を実施いたしました。

主催は『横浜石工連技能育成推進委員会』です。

私が発案したので勉強会の幹事も受け持ちました。

※かながわ労働プラザにて。参加人数約40名強。

 

ということで、
墓石の『耐震施工用石材ボンド(接着剤)について』【種類と効果】まとめ
をお送りしたいと思います。

 

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石材用ボンドの勉強会主旨・内容

昨今、お墓を建てる際に、最も重要視されている【お墓の耐震性】

それに対して石材用ボンドを使用することは、当たり前になってきています。

 

講義内容としては、日々実際に『石材用ボンド』を使用している中で、疑問に思ったことや、様々な条件下での耐震性能への影響などについて改めて学ぶ、といった具合です。

その為に販売メーカーである、『ボンド商事株式会社』さんから講師として鈴木様をご招待致しました。

 

現場で分かることもあるとは思いますが、ボンドのことを一番分かっているのは、【技術者】であり【生産者】である『ボンド商事』さんに決まっています。

特に実験論文についてであるとか、数値的な話になってきますと、石屋は疎くなってしまうのは当然でしょう。

 

ボンド商事鈴木氏の講義に加え、普段から疑問に思っていることなどを率直にぶつけてきました。

 

実際の講義内容と質疑応答

以下、講義内容・質疑応答などを、私なりに解釈して噛み砕いた内容になります。

とは言え、専門用語・専門知識が多いので素人目線ですと、非常に読みにくいかもしれません・・・

 

【石材用ボンド】と一口に言っても種類があります。

石材に主に使用される系統で、ボンドの種類を大別すると【二種類】に分かれます。

  • 【弾性を持たせて揺れのショックを和らげる】変性シリコン製
  • 【ガチガチに固めて揺れを起こさせない】エポキシ樹脂系

各社メーカーで出している商品は、名前こそ違うものの中身は同じ物だと伺いました(笑)

 

その他にブチルゴム製や、その他何かゲル状の新製品などもあります。

これらも【弾性を持たせてショックを和らげる】タイプに入るでしょうね。

 

セメントも同様に分類の観点から考えると、【ガチガチに固める】タイプに分類されます。

 

ボンド商事さんの売れ筋商品、【耐震ボンドエース】は変性シリコン製です。

耐震ボンドの実験・解説動画↓

 

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セメント工法について

従来は【セメント工法のみ】でしたが、現在はこのように多様性に富んでいます。

今現在も日進月歩で開発は進んでいることでしょう。

 

ただし、必ずしもセメント・モルタルが劣る訳ではありません。

過去の実験データで、しっかりと【正しいモルタル施工】で行った結果、【ボンドより耐震性能が勝った】結果もありました。

※正しい施工とは、接着面同士を磨き仕上げではなく、表面を荒らすこと(もしくは合口を取るなど)で表面積を増やし、モルタルが接合する部分を増やして強化する方法です。解体すると分かりますが、バラすのも結構骨です。

※誤った施工とは磨き面同士を、セメントでチョイチョイっとつけるだけで接合する施工方法。もしくは目地のみをセメントで固定する方法です。これらは接着とは言えません。昔のお墓はホントにこればっかです。強い地震が来たら【即アウト】です。解体工事は簡単ですが・・・

 

心棒を入れる耐震施工について

墓石の竿石(一番上の石)と、上台(上から二番目の石)の間に『ほぞ穴』を開けて、『ステンレスなどの心棒を入れ込む補強方法』があります。

 

なるほど!鉄筋コンクリートのようで、中に心棒が入っていると強そうですよね!!

はい、これがまた間違いでして・・・

 

何故か?

真ん中に一本の心棒が入っていることによって、確かに地震の初期揺れや弱い地震では倒れることはありません。

 

ですが、揺れが強くなると話が変わってきます。

強い揺れが続くとお墓は、前後左右に振られます。

 

そうすると、どうなるのか。

振られると、心棒を中心にグルグルと竿石が回転を始めます。

※心棒が入っていなく、耐震施工もしていなければこの時点で倒れてしまいます。

 

回転を始めると、その回転運動のエネルギーは上方向にしか逃げ道がなくなってしまい、徐々にせり上がり、最後にはポーンと竿石が外れて吹っ飛んでしまうのです。

竜巻や渦巻、竹とんぼの様なイメージでしょうか。

 

文で説明するのは難しいですが、実例として多数の報告が入っていますので、こういった施工法はやめておいた方が間違いがないでしょう。

 

ただし、例外として心棒が一本ではなく、『並列して二本入れる施工』であれば、回転運動が起こりえないのでそういった事態を招く危険性はなくなるようです。

その場合は耐震施工法の一種として捉えても良いでしょう。

 

変性シリコン製の耐震ボンドの施工法による【強度の違い】

単純に変性シリコン製の耐震ボンドを施工する際の施工法でも、施工法によって、その強度には【雲泥の差】が生まれてきます。

 

こちらの最新技術を用いた【実験論文】の内容はこうです。

336ページ以降に、【ボンド施工法の種類によっての強度の変化】が記されています。

比較対象は以下の通りです。

  • 無接着
  • 一点接着
  • 四点接着
  • 全面接着

まぁ当然と言えば当然なのですが、強度的には上から下に向かうにつれ強くなります。

 

これらの条件において、『人為的に経年変化させ耐用年数・耐震性の持続力を計る実験』を行っています。

(建築材などにも使われる促進耐候性実験と呼ばれる実験)

 

論文を読むと分かりますが、『10年を境に徐々に性能が落ちていく』のが分かります。

※5年程度までは逆に性能が上がっているのが分かります。施工直後はまだ化学反応(硬化)が完璧ではなく、時間を置くことによりその性能が最大限に発揮されるからです。

 

【4点接着】で【100mmの玉になるように接着する】のが、【現実的にベストな施工法】と言えるかもしれません。

※全面接着はボンドの使用量が半端ない上に、解体時に困難を極めます。どうしてもご希望の方がいらっしゃいましたら対応は可能です。

 

ただし、この実験では、目地止めを行っていません。

それがどういうことか?

変性シリコン製のボンドは【紫外線】や【水分に晒す】と弱ってしまうのです。

 

ですから、目地をしてそれらに晒されることを防ぐことにより、『実験数値よりもはるかに長い耐震性能を持続させることが可能であろう』ということでありました。

 

逆に言えば、それだけ、風雨・紫外線に晒される劣悪な環境であろうとも、『20年から30年はその性能を維持出来る能力があるとも言える』かもしれません。

 

と、つらつらと記して参りましたが、結局の所・・・

「この中で一番良い施工法とはどれなのか?」

そこが一番気になる点だと思います。

 

しかし、話はそう単純な話ではないようです。

ボンド商事の鈴木様曰く、

「事故を防ぐため、そして運転者を守るために、色々と試行錯誤を重ねている車の開発と似たような物」ということだそうです。

 

車ではエアバッグや自動ブレーキ機能など開発を重ねていますが、それでも事故は完璧に防ぐことはできませんし、事故が起こった際にも運転者・同乗者を完璧に守ることなど、今の技術では実現出来ていません。

 

お墓の施工法もそれと近しいものであり、『非の打ち所がない完璧な施工法』というものは、未だ存在していない訳です。

 

逆説的に考えますと、そんな施工法があるのであれば、耐震材・道具・施工法が、ここまで多岐に渡って存在していませんからね。

メーカー各社各様、そして石材店各社各様が日進月歩でそれらの技術を確かめ、研鑽していっているのが現状ということです。

 

住宅メーカーなどとも同じかもしれませんね。

木造での軸組構法を発展させたり、軽量鉄骨を発展させたり、ALCを発展させたり・・・

 

ただ、住宅と違って難しいのは、お墓には耐震等級の指標や建築基準法、第三者機関によるチェック機能が存在しない部分です。

結局は、建ててもらう石材店の実力を信用するほかないのですね。

 

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まとめ

【完璧な施工法】というものは現時点では存在しえませんが、それに追随するように耐震性を完璧に近付ける施工法は色々な種類があります。

石材店各社各様の施工法があるとは思いますが、そこに【確固たる理論付け】・【考え方】を持った石材店を選ばれると良いと言えましょう。

 

石材店の中には、

  • みんながやっているから
  • 今までがこのやり方だったから
  • 今まではこれで倒れてないから

という浅い理由のみで、技術的に向上心が閉塞してしまっている石材店も中には多くあることでしょう。

それらを見分けるのは消費者目線では難しいかもしれませんが・・・・

 

当店では、というか私的にはですが、常日頃から『色々な技術』・『道具』にアンテナを張り、技術的進歩を見逃さないよう努めていきたいと思います。

 

・・・・ブログ自体が論文みたいになってしまいましたね・・・・(笑)

参考・引用文献
三輪 滋
MIWA Shigeru
飛島建設株式会社 技術研究所
古川 愛子
FURUKAWA Aiko
京都大学大学院 工学研究科
清野 純史
KIYONO Junji
京都大学大学院 工学研究科
「接着剤を用いた墓石の耐震補強における接着強度の経年劣化に関する基礎的検討」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejseee/66/1/66_1_328/_pdf

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